水女 -みなめ-
水女 -みなめ-
雨の流れに身を任せ 川の流れに 囁きながら 漂うように 流れるように
歯がゆいがゆえに 待ち続け 優しさ胸に 雷音を聞く
私は一人…水の中
水面が、光を反射しながら優しく受け入れるさまを暗い奥底で眺めながら水の中でため息をつく…
「……」
しゃべることのできない…いえ、しゃべる必要がない私は今日も何かを待っている。雨の流れは時に水面を激しく打つときもあって、不安に駆られるけど…それでも毎日、飽くことなく待っている。
何を待っているかなんて私にはわからない。
ただ待つことが私の存在意義であるかのように私は待っている。
誰も手を伸ばさない。私には手というものが想像の中でしか存在しないから
誰も私に話しかけない。私はいつも奥底に居て、その中を出ることができないから
そもそもしゃべることのできない私にどうやって話しかけるというのだ
「……」
ため息は泡にもならず、私の前で消えていく。
不安を時に心に抱きながら、私は人間の真似をしてみる。私を作り上げる。自分の想像の中で…途端に私は形を持つ。私の中だけで。
手ができる。足が生える。透き通るような水色の長い髪が揺れる。私の好きな色は…白だから白いドレスを身に着ける。もちろん、私の想像の中で…
水は鏡のようにいろんなものを映すから私は映ったいろんなもので生物を見てきた。人間が一番私に近くて、私を必要としてくれて、私を身体に取り込んでくれるものだと知って私はうれしかった。だから、私はここで待ち続ける…
水女として…ただ、ひたすら、ただ…漂うように…
雨の流れに身を任せ 川の流れに 囁きながら 漂うように 流れるように
歯がゆいがゆえに 待つことなく 優しさ胸に 雷音を聞く
私は一人…水の中