バンキョーハートフル通信1996/4 アメリカ西海岸ドラックストア研修レポート 1996年2月 万協製薬株式会社 代表取締役 松浦信男 *出発まで 出発の2月18日は全国的に大雪の影響で国内の航空便は欠航、新幹線は遅延するなど関東地方の交通はマヒ状態で全員が集合したのは午後3時過ぎ。 午後12時50分から成田空港へVIPル-ムにて結団式が行われた。鈴木団長の挨拶に始まり川端社長の激励、児玉部長、協励会渡辺事務局長、小林課長の出席をいただき今回の研修旅行のコ-ディネ-タ-である保坂先生による、第1回セミナ-が開かれました。保坂先生が用意していただいた資料は500ペ-ジにおよぶもので、あらためて先生の博学を思い知りました。 定刻16時30分のユナイテッド890便は、機体の雪を解かすのに2時間かかりました。翼に氷がつくと飛行に支障をきたすためです。 9時間30分の飛行を無事終え、ロサンゼルス国際空港に到着したのは2月18日の午後12時15分(日付変更線通過のため)。 1984年のオリンピック開催を機に生まれ変わった西海岸最大の空港で79社が定期便を乗り入れている。日本からのノンストップ便も約80便あり、まさに西海岸の玄関口といった感じ。航空会社によって、使用するタ-ミナルが異なりその広大さに私たちはまず驚いた。 さっそく、出迎えのバスに乗り込み、最初の見学場所のTorlanceに向かった。摩天楼のそびえ立つニュ-ヨ-ク、霧と坂道の町サンフランシスコという具合に、都市にはその町のイメ-ジがあるがロサンゼルスには画一したイメ-ジがない。ある人はパ-ムツリ-の並ぶビ-チを思い、ある人はハリウッドの映画界を思う、またある人はビバリ-ヒルズの豪邸のイメ-ジを持つかもしれない、いくつもの顔をもちつかみどころがない。 そのなかでもロサンゼルスの一番の特徴はその広さである。広さは関東平野に匹敵すると言われているくらい。おまけに公共交通機関はバス以外ないため、自動車とハイウェイが必須である。 ①South Bay Galleria ショッピングセンタ-ではあるが、ここではそう呼ばずガレリアと呼ぶ。ガレリアとは、イタリアのミラノにある自然発生的に生まれた商店街を指す。アメリカには40,000のショッピングセンタ-があるが、ここは屋根をガラスで覆ったクロ-ズド型のリ-ジョナルショッピングセンタ-である。1~3階まで達する大きな噴水があり中央には木が植えられ、木製のベンチが配されていて、地域住民のコミュニティの場ともなっている。このショッピングセンタ-の核はマ-ビンズというアパレルのディスカウントストア、ノ-ドストロウムというオレゴン州の靴屋から発達したデパ-ト。ロビンソンメイ(ヨ-カド-が買収したことで有名)の3つのデパ-トメントストア-である。 当日は、プレジデントデイという3連休の中日であったため、人出が多かった。アメリカ人は日曜日には午前中コミュニティの教会に行き午後はこのようなショッピングセンタ-のフ-ドコ-トで食事や買い物をして帰るのが普通らしい。 私達もフ-ドコ-トで食事をしたが生ピアノの演奏があり、日本食まであったのは驚きであった。 パ-キングの車は美しく高級住宅地にあるせいか身なりのきちんとした白人が多かった。店員の対応もよく、熱心に接客していた。専門店の中にはビタミンショップやカラ-コ-ディネ-トの店などがある。 ②99-Cents Store 先ほどのガレリアの高級なイメ-ジに比べてヒスパニックやコリア等のLAの低所得者階級を対象とした店で、全ての商品が99セントである。店舗は白を基調としており遠くからでも白地にブル-の99cents only storeという文字がよく見えるようになっている。日本で言うところの100円ショップに似ているが、日本より扱っている商品の種類が多くお買い得感も大である。カミソリ、化粧品、カレンダ-などにはじまり、食品、医薬品、ドリンクまであり広く生活必需品店という品揃えである。店内は約200坪である。 もともとロサンゼルスのダウンタウンで薬局をしていたゴ-ルドマンというユダヤ人が自店の在庫処分のために99セントで販売を始めたのがきっかけで、それが成功し現在では150店以上になった。 あまり身なりのよくない黒人やメキシコ系のお客が多くパ-キングしている車も古い車が多い。ほんの少しの距離を離れるとこれである。ひょうたん型と言われるアメリカの所得構成の底辺を見た思いであった。失業者は減っても収入は増えていないのである。しかし、99-cents storeが同価格で日本で存在すれば大ヒット間違いないであろう。 ③Thrifty Drag Mrs.Guchs 3番目の見学地はPACIFIC BEACHにあるネイバ-フッドショッピングセンタ-(住宅密着型)。 キ-テナントは、一昨年ペイレスと合併して全米ドラッグチェ-ン第5位(売上43億ドル)のスリフティドラッグ(全米1023店舗)とナチュラルフ-ドマ-ケットのミセスグ-チスである。 スリフティドラッグはコ-ディネ-タ-の保坂先生が昔、勤めておられた店とのこと。売場面積は平均556坪で1店平均の年間売上げは430万ドルのス-パ-ドラッグチェ-ンである。ロサンゼルスを中心にドミナント展開をしており今回の研修旅行中いたるところにスリフティの白地に赤文字の看板を目にした。処方箋調剤を店の一番奥に設けて集客の要としている。 OTCはストアブランドが充実しておりナショナルブランドと比較陳列することで消費者の購買欲をそそっている。 ミセスグ-チスランチマ-ケット(グ-チスおばさんの農園市場)は日本にはまだ少ないと思われる「健康」という観点から品揃えをしたス-パ-マ-ケット。質の良い木を上手に使ったやさしい店作りが特徴で照明も他店舗と違い白熱球が多く 暖かさを感じる。威圧感のない棚の上には観葉植物をおくなどのコ-ディネ-トも良い。レイアウトも直線ではなく、オ-ドブル→メインディッシュ→アルコ-ルドリンク→乳製品→果物と店内を歩きながら1つの食事を作っていけるようになっている。商品は有機栽培で育てた野菜、ホルモン剤、抗生物質等の薬剤を一切使っていない肉、ナチュラルな化粧品、 サプリメント、ホメオパシ-商品、ナチュラルなペットフ-ド、病気を予防するための本等々工夫にあふれたものでした。 果物の積み上げ等もきれいにされており、買い物を楽しむことが出来る店内であった。オリジナルのキャロットジュ-スは大変美味しかった。参加した先生からももう一度行ってみたい店という声が多く聞かれた。 ④Cerritos Town Center Drug Emporium Smith's Home Depot Office Depot 再びTorlanceに戻り、カテゴリ-キラ-(特定の分野に品揃えを絞ったディスカウント店)の集まった広大なショッピングセンタ-を見学する。スペイン風の建物。南カリフォルニアは昔メキシコの領土であったため、スペイン風の人を多く見かけた。 自動車も少しいたんだものが多かった。 Drug Emporium 1977年に誕生したディ-プディスカウント型ドラッグでオハイオ州コロンバスが発祥。 ワンウェイコントロ-ルと呼ばれる入口と出口が別々にある。これは通路を広くとり、中通路をとらず、お客に店内をまんべんなく歩かせることと、万引き防止が目的とのこと。調剤スペ-スが広く充実している。商品調達はメ-カ-の特売に合わせ一品大量仕入れを行い他店のようなストアブランドは持っていない。このような400坪以上の店舗が投資に見合うだけの収益が上がらないことから見直される方向にあるとのこと。 Smith'S ユタ州ソルトレイクシティ-に本部のあるモルモン教の宗教的なつながりがあると思われるコンビネ-ションストア。 棚に空いているスペ-スが多く見られる。その理由は閉店である。全アメリカの失業率は5.8%だが、ロサンゼルスの失業率はそれより高く10%。同じことはソルトレイクシティにも言え、本部の労働組合がロサンゼルスの店にユタ州の人間を雇用するように、裁判所に訴えこれが認められ、ロサンゼルスの店にユタ州の人間を雇わなければいけなくなった。アメリカとは怖い国である。それで、Smith'sはどうしたかと言うとカリフォルニアでドミナント展開をしている、ボンズにカリフォルニアの全店舗を売却してしまった。 私達が行ったのは閉店3日前だった。空いていた棚の多くはSmith'Sのストアブランドで平台のゴンドラワゴンに200個くらいのOTCストアブランドが薬効に関係なく投げ売りされていた。 アメリカは怖い国である。 Home Depot Office Depot Home Depotはホ-ムセンタ-のカテゴリ-キラ-で以前は会員制であったが、今は誰でも店に入って買うことが出来る。 日本の「日曜大工」に毛のはえたようなホ-ムセンタ-とは違って、とにかくデカイというのが印象。天井まではおそらく10m以上あろうと思われる。店内は一見して倉庫風というか、倉庫そのものであろう。天井は明かり取りのため屋根が所々切りとられていた。合理的。一番上の棚はコンテナにのっており、フォ-クリフトで取り出すようになっている。 間違いなく家が一軒建つであろう、ありとあらゆる「家の部品」が揃っていた。 アメリカでは専門の業者に作業を依頼すると高くつくのでほとんどDo it Myself.なのだそうである。素人にも簡単にはれるような壁紙やペンキ等があって家にこだわりを持つアメリカ人の姿を見たような気がした。 Office Depotは同じく、オフィス用品のカテゴリ-キラ-でブランドの万年筆など日本で買うのと半額であった。 アメリカの名言として Poor People needs discount,Rich man likes discount. というのがあるそうであるが、不景気によるミドルクラスの減少はディスカウントストアを急速に発展させている。 日本でディスカウントストアに入る時の気恥ずかしさはこの国には存在しない。 ⑤New Otani Hotel 今日の見学は、これで終わらせホテルに向かう。 午後5時50分ホテル着。泊まるホテルは日本でも有名なホテルニュ-オ-タニである。このニュ-オ-タニは全米最大の日本人コミュニティであるリトル東京の中にある一際目立つホテルで、長い間荒廃していたリトル東京の再開発はこのホテル建設から始まった。砂漠の中のオアシスのように、ダウンタウンの中心にあり、回りは日本企業の高いビルが 軒を連ねているが、そのブロックを少し離れるとすぐデインジャラスゾ-ンでロス暴動があった地域もあり、その対比がアメリカの中の日本の位置を象徴しているようであった。 午後6時15分から1時間保坂先生による第2回セミナ-が開かれた。その後鈴木団長主催のWelcome Dinnerが開かれた。 その席で参加者は調査の目的別に6グル-プに分けられ班長を決めそれぞれの目的に合わせて翌日からの研修に臨むことになった。 各班テ-マ 第1班;調剤について ①調剤室の構造及び付帯設備について,調剤室の位置・構造 ②調剤室前の陳列 第2班;ディスプレイについて ①ゴンドラエンドの商品処理 ②調剤室前の品揃え 第3班;レイアウトについて ①壁面のレイアウト ②レジ回りのレイアウト 第4班;マ-チャンダイジングについて ①PB商品がどのように展開されているか ②NBとの比較(価格,包装等) 第5班;マネ-ジメントについて ①自分の店の売上げを増やすために並んでいる商品の中から何を取り扱うか 第6班;商品開発について ①剤型調査 ②価格調査 ③販促手法調査 2月19日(月) 朝から雨、ロスではめずらしいそうである。 午前8時から1時間45分間、第3回セミナ-が開かれた。アメリカ流通業の歴史をたどりながら、ファ-マシ-、 ドラッグ、NSC、RSC、GMS、SM等の業態解説と共に店舗視察の際のチェックポイントの指導を頂いた。 ⑥Walgreen Rx-Press 今回の参加者が最も関心と興味を持ったのがAnaheimにあるこのウォルグリ-ンによるドライブスル-型の処方せん調剤店である。 ウォルグリ-ンはイリノイ州に本社がある全米最大のドラッグストアである。処方せん調剤を核にしたヘルスアンドビュ-ティケアの専門性と便利性を武器にした成長を続けており、多くの店舗が50坪から250坪といった小さな店舗であることから日本のドラッグ関係者から大変注目をあびている。21年間連続で増収増益を記録しており2,085店の売上げは1兆400億円で利益は321億を上げている。アメリカの経済誌フォ-チュンに最も称賛されるアメリカ企業の一つに2年連続して選ばれている。ウォルグリ-ンではこの成功の秘訣を「3つのF」で表してる。1つめは「FAST」という時間の節約の提供、2つめは「FOCOS」自店の強みを前面に出して特定の客をつかむ(処方せん調剤)3つめは「FRIENDLY」人の温もりのある小売業を目指す、である。 RX-Pressはその3つのFを処方せん調剤という分野に集中させたウォルグリ-ンの実験店舗である。 寒いシカゴで開発されたという47坪の小型店で現在21店で展開している。患者は店内に入らずとも自動車に乗ったまま処方せんのサ-ビスを受けることが出来る。売上げの8~9割が処方せん調剤である。業界リ-ダ-としての自信に満ちた 業態と言えよう。ドアの前には曜日毎の営業時間とストアスタッフの名前が表示(5名)されている。月曜日から金曜日までが午前9時から午後9時まで、土曜日が午前9時から午後6時までとあった。ブル-の屋根にベ-ジュのレンガの壁で清楚なマクドナルドといった外観。店内は明るく食料品や雑貨はなく、すっきりした印象で、しきつめられたじゅうたんには 来店した患者の気持ちが落ちつけられる感がある。 1時間DPEも受け付けている処方せんカウンタ-の前には、ストアブランドのビタミン、サプリメント類が誇らし気に陳列されていた。カウンタ-の高さは1.5mくらいで店の大きさも関係してか、清楚さの中にあたたかみを感じた。 調剤室のフロアはOTCフロアより少し高く1~2名の薬剤師と数名のテクニシャンが働いてる。月曜日ということで大変忙しい様子。薬品の棚はコの字形をしており、店外のパラボナアンテナから患者の個人デ-タを衛生回線を使って本部のホストコンピュ-タにアクセスして薬歴等を管理している。日本でも「かかりつけ薬局」が目指されているが、 これは一歩先を行くのものだと思う。このネットワ-クは海外まで広がっており国際宅配便で薬を受け取ることも可能である。 ⑦Pavillon Target Three-D T.J-Max Anaheim Hillsというロサンゼルス郊外にあるボンズのメガストア、Pavillionsをキ-テナントとするショッピングセンタ-を見学。先ほどと同じオ-プンモ-ル型のNSCでメキシコ風の建物。パ-キングは4,000台分以上あり歩いて回るだけでも大変である。ボンズは全米ス-パ-マ-ケット業界9位、ロサンゼルスだけはNo.1。ロサンゼルスにドミナント展開をしており店舗数334店中の119店でファ-マシ-部門を導入している。 ス-パ-マ-ケットの主力商品である生鮮食品は売価も低く利益も数パ-セントしかない。そのため、新しく出来るショッピングセンタ-は収益源としてファ-マシ-を導入している。Pavillionsはその中でもス-パ-マ-ケットを巨大化した様な店舗で倉庫風の建物で、出来るだけ、一カ所で時間をかけないで買い物が出来るということを目的としている。 ファ-マシ-は入口を入ってすぐにあり、調剤をしてもらっている間に食材を買うといった感じである。ボンズは生活必需品はどこよりも安く、生活享楽品はどこにも負けない高品質をということで生鮮品の力の入れようは大変なものだった。 日本のス-パ-マ-ケットの様に画一的な展開でなく缶詰やOTCは倉庫用ラックに、生鮮品は木のラックに入れベ-カリ-や肉、魚のコーナーは中心に独立して作るなど食材売場というよりは、食事提案売場という感じ。 将来、ドラッグの恐ろしい強敵となるであろう。 ボンズのストアブランドには「BEST BUY」とPBであることを誇らしげにうたったPOPがいたる所に大きく掲げられていた。 TargetはディスカウントストアでPavillionsとは競合をさけている様であった。 T.J-Maxはデパ-トの返品やメ-カ-の生産過剰品を20~75%引きで売るオフプライスストアで服飾品中心の品揃えであった。 ⑧Ralph's Sav-on Express Price Club K-mart Super Center Corona Hillsという新興郊外住宅地に出来た種々の業態店を見学。 Ralph’sとSav-on ExpressはNSCで今まで見学した所と同じくメキシコ風でまわりの建て売り住宅もメキシコ風であった。 郊外は広がっているのは日本と同じだが日本のように田畑が広がっているわけではなくアメリカの場合は本当に何もない。 文字通りという感じでこのような場所で一人おいていかれたらどうすればいいだろうかと怖くなった。 ラルフはロサンゼルス第2位のス-パ-マ-ケットで白を基調とした大変清潔感のある店作りであった。実際に広い店内にチリひとつ落ちていなかった。特徴あるのが天井でいたる所に自然の採光がされ、それが開放感を演出していた。 こちらもボンズと同様、生鮮品については種類、ボリュ-ム、陳列で他店を圧倒していた。やはり、ス-パ-マ-ケットはこれがメインである。ラルフはとても感じの良い店でこのような店で日々の買い物が安価で出来るアメリカ人がうらやましくなった。聞くところによるとアメリカ人の主婦は調理に29分以上かけないとかで、提案型の食材コ-ナ-が人気とのこと。 セ-ブオンエキスプレスはアメリカンストアが経営するその名の通り急行型のス-パ-ドラッグである。アメリカのス-パ-マ-ケットは1人の買い物する量が多いためレジに並ぶと5~10分は平気でかかる。時間貧乏のアメリカ人にとっては、「速いチェックアウト」はそれだけでで利点なのであろう。入口は右側にあり縦に長いゴンドラレ-ンが並ぶ。 ゴンドラは前の品物をとると自然に奥のものが出てくるスライド式を採用していた。 Price Clubはメンバ-シップホ-ルセ-ルクラブと呼ばれる会員制の店舗に倉庫を使った、会員の年会費収入をオペレ-ションコストに考えた上で運営するウルトラディスカウント店。 日本でもダイエ-が、経営者の中内功氏の名前をとったKOU’Sを展開しているが、これはアメリカにあるこれらの店舗のノウハウをもとに出店しているものである。 セルフサ-ビス、チェックアウト、値札をつけない、包装しない、ケ-ス毎のパック販売、現金オンリ-、チラシやク-ポンは発行せず会員向けのDMのみ、陳列台を使わない、店に金をかけない、人や電気を節約するなど徹底したロ-コストオペレ-ションを追求している。 私達はPrice Clubの1日会員になり入店した。外観は、六角形の体育館の様であるが、内部は倉庫そのもの。 照明も暗くエアコンもついていなかった。商品はパレットの上にドサリと積んである。ADVILというアメリカNo.1ブランドの鎮痛剤が10個シュリンクパックされて売っていた。買い物はカ-ト単位が常識で、どこからこれだけの人が集まって来るのかという程混んでいた。低価格は商圏を広げるのであると実感。 K-mart Super Center アメリカ第2位の小売業であるK-マ-トが作ったス-パ-マ-ケットの21世紀未来形店舗。売場スペ-スは3,000坪。 24時間営業。 ミシガン、ダラス、アトランタなどどちらかと言えば田舎で成功してきた業態で朝起きて夜寝るまでの全てが365日ここで揃うという感がある。これまで、種々のショッピングセンタ-を見学してきたが、ここは一店舗でショッピングセンタ-になっている。 日本では「デパ-ト」「ス-パ-」「コンビニ」「専門店」といった大ざっぱな区分しかされない小売業が、アメリカではさまざまなカテゴリ-にとらわれない小売店の形態がトライされ進化し続けていることが驚き。アメリカが日本よりはるかに規制の少ない国であることのためディベロッパ-が考えている通りに店舗設計が出来るとしてもショッピングセンタ-の隣りにショッピングセンタ-を作ってしまうといった一見、商圏を無視したかのようなパワ-ゲ-ムにはおそれいる次第。 先ほどのラルフにしてもこのK-マ-トも広く清潔で、静かでしかも価格が大変安いのである。 NYやLAのダウンタウンが有名なためアメリカには汚いイメ-ジがあったが全くの誤りであった。降参である。 日本のス-パ-が続々と郊外に進出しているのもこういった背景があるのだろう。しかし、これをそのまま日本でやると「価格破壊」だけではなく「企業破壊」になると思う。日本ではコストがかかりすぎる。 ビバリ-ヒルズのロデオドライブというハイプレステ-ジストアを見学。折からの雨のためバスの中からの見学で参加者から溜息が漏れていた。ここには、カルチェ、グッチ、ルイヴィトン、ティファニ-などの高級店が軒を連ねていた。 午後7時35分からのロサンゼルスのラウリ-ズでディナー。プライムリブステ-キを食べる。肉が大変柔らかく美味しかったが、調理の仕方が驚きである。牛を半頭分くらい丸焼きして、客の好みの焼き加減に合わせてレアになるほど内側を切っていくのである。ミディアムなら中くらいの部分を切るといった具合。なんたる合理的なことであるか! 有名な店らしく日本人も多かった。しかし500gのステ-キは少々ヘビ-であった。 ⑨Square Drug スクエア-ドラッグを見学。ビバリ-ヒルズにあるチェ-ンドラッグで旧レキソ-ル店であったものが現在はスリフティに買収されている。レキソ-ルチェ-ンは成功していたが10年前に多くのチェ-ン組織が挫折した時に消滅した。 しかし看板には未だに、レキソ-ルとある。超高級立地で角地の為か、午後8時近くなのに客の数が多かった。 旧店舗を改装したためか、柱の数が多いが、柱に鏡を取り付けるなどして圧迫感を少なくしている。店員も親切にアドバイスをしていた。 午後9時10分ホテルに帰着。明朝までに第一回レポ-トを仕上げて提出しなければいけない。 なかなか寝かせてくれないのである。 2月20日(火) ロサンゼルス発午前9時40分発のユナイテッド2154便でラスベガスに出発。1時間弱のフライトでマッカラン国際空港に到着。中心地からわずか3マイル。13の航空会社が乗り入れ年間乗降客が2,200万人を超える大空港である。 空港にまでスロットマシ-ンがおいてあるのには驚き。今日も雨である。乾ききったネバダの地に忽然と出現するオアシス。 ネオンの洪水がいつまでもその輝きを失うことのない不夜城。ラスベガスは人工的で不思議な町である。その昔はカジノの町として知られていたが近年の変貌ぶりは著しくテ-マパ-クや数々のアトラクションと家族連れにもタ-ゲットを広げ誰にでも楽しめるエンタ-テイメントの都市としての道を歩みつつある。 ⑩Sears Jc-Penney 2つの大きなGMS(ゼネラルマ-チャンダイズストア)のあるショッピングセンタ-のフ-ドコ-トにて昼食。 ノンフ-ドで買い物頻度が中から低の品種の品揃えのため、最近はデパ-ト戦略をとりファッション、インテリア分野に力を入れているとのこと。あまり人出はなかった。 UNIVERSITY DRUG ユニバ-シティプラザというボンズが核になったショッピングセンタ-内にある独立店。店舗の面積は約60坪。 オ-ナ-である薬剤師のラルフ氏と娘さんと一名の店員の計3名のアメリカ版パパママストア。店の奥に調剤コ-ナ-があるチェ-ンドラッグに対抗するためアメリカ最大の卸であるマッケンソン社の提供する種々のサ-ビスを受けている。 チェ-ンドラッグのストアブランドにあたるのがValu・Rite商品であるチェ-ンブランドの利益が30%であるのにも比べバリュ-ライト商品は50%の利益があるとのこと。店頭にはValu・Riteの看板が大きくかかっており「Compare&Save」と書いてある。商品が気に入らなければ、いつでもお金をお返ししますという自信にあふれた表示が見える。 マッケンソン社は卸として独立店の成長こそが自社の繁栄につながるという考えでPOPはもちろんのこと値付けシ-ル、調剤支援システム、ストアデザイン、サ-ビス、ク-ポンサ-ビス、果ては従業員のユニホ-ム、店のポスタ-まであらゆるサ-ビスを安価で提供している。オーナーのブライアント氏は調剤の忙しい合間をぬってマッケンソン社のコンピュ-タ-システムを見せてくれたり調剤室の中に入れて写真やビデオを撮らせてくれたりと大変親切であった。チェ-ンドラッグより明るい笑顔が違って見えたのは気のせいだろうか。バリュ-ライト商品に限らずPBの商品名は商標の関係もあってか成分名がそのまま商品名になっているものばかりであった。 ⑪Wal-mart ウォルマ-トはアメリカ最大の小売業であるディスカウントストアである。 No.1の理由はエブリデ-ロ-プライス。どのような地区に出店しても情報のとれる衛生通信を利用したハイテックシステム、競争の激しい立地をさけた郊外型の出店、徹底した従業員教育がある。実際の店舗に入って見ても売場の迫力がすごい。 圧倒的な物量、天井からつり下げられた「Buy American」の主張。 ファ-マシ-部門においても多くの患者が処方カウンタ-の前に立っており、それに応えるスタッフの数も充実しており、受け付けの人も何度も「御用はありませんか?」と声をかけていた。中では薬剤師3名+助手が忙しく働いている。 調剤済みの薬袋がアルファベット順に整然と並べられている。1日300~400枚は受け付けているようだ。 従業員の親切な態度には、これがディスカウントストアかと感心した。調剤室の広さや薬剤数は他店と変わらないがOTCの品揃えは一番でストアブランドにも「The Highest uality Phamaciticals at Low Price Every day」と書いており自店の商品のポリシ-を明記していることは感銘を受けた。他のス-パ-に比べ生鮮品を扱っていないことも有利な点であろう。これもオクラハマ州の片田舎から出発したウォルマ-トに知恵と言える。 近い将来ドラッグ分野においてウォルグリ-ンの最大のライバルとなるであろう。 Luxor Hotel 午後4時に今日の宿泊のルクソ-ルホテルに到着。華やかな高級ホテルとカジノが並ぶ。ストリップ南に位置する。 スフィンクスと黒いピラミッドを持つルクソ-ルは古代エジプトをコンセプトにしたカジノ&ホテルでホテル内が1つのテ-マパ-クになっている。カジノもあり大変楽しいホテルであるが宿泊スペ-スがピラミッドの四隅にあるため自分の部屋にたどり着くのに時間がかかるのが欠点。部屋の細部に至るまでのエジプト感覚は砂漠の町にふさわしい。 Flamingo Hotel 午後7時からフラミンゴホテルにてミュ-ジカルあり、マジックあり、コメディありダンスありのバラエティ-ショ-を見ながらステ-キディナ-をとる。アメリカ人のショ-マンシップに感心した。一番前の大変良い席でラインダンスの揺れがテ-ブルまで伝わってきていた。 ディナ-ショ-終了後、全員でダウンタウンのナイトイルミネ-ションを見学してホテルに帰る。イルミネ-ションは素晴らしく、まるで町中ディズニ-のエレクトリカルパレ-ドをやっているようであった。昔の賭博の町のイメ-ジは今はない。 そののち多くの先生が夜遅くまでカジノに熱中されていた。約3割の人が勝てるようになっているとのこと。 2月21日(水) San Francisco International Airport 午前8時発のユナイテッド2183便にて最後の訪問地、サンフランシスコに向かう。 空港到着は午前9時30分。昨日の激戦のせいか疲れた顔の先生が多い。でも勝った先生は元気いっぱい。 空港はダウンタウンの南約20kmに位置する。国際空港としては意外にこじんまりした印象。 アメリカで行われる人気都市の投票で常に上位を占めてきたサンフランシスコ。一年を通じて温暖な気候と大都市にも関わらずコンパクトにまとまった町の大きさ、何よりも坂道の多い街並みの美しさと港町の伝統が持つ優しい町の雰囲気がある。 ハ-ドボイルドなイメ-ジのロサンゼルスに比べ町というものは少しくたびれたくらいが暮らしやすいのかも知れない。 ⑫Great Mall Factory Outlet Milpitasにあるフォ-ドの自動車工場跡に作られたメ-カ-、ブランドショップが売れ残りを処分するウエストコ-スト最大のファクトリ-アウトレットである。繁華街から離れているので実害はないらしい。名前から想像していた姿とは違って中身はショッピングセンタ-であった。店舗数は約400。高額の商品をディスカウントしており顧客の80%が高所得者層とのこと。 ⑬Safeway-MarketPlace Ralys DrugEmporium Payless セイフウェイマ-ケットプレイスはNewarkのインタ-チェンジを降りた所にある。 オ-クランドに本部を持つウェストコ-スト最大のス-パ-マ-ケットチェ-ン、セイフウェイが作ったファ-マシ-を取り込んだディ-プディスカウントス-パ-マ-ケット。 Ralysはカリフォルニア州サフラメントに本部を持つ、食品と非食品を同一の面積で売場を展開しているコンポスタイルのドラッグセンタ-。調剤カウンタ-は高い位置にありその前に2mくらいの高さまでビタミンサプリメントのコ-ナ-が作られていた。調剤室は見上げるような感じ。ドラッグコンポリアム、ペイレス等に混じってセイフウェイの健闘が目立った。 今日の旅行で初めて青空が見え大きな虹がかかった。 ⑭Walgreen Plaza Milpitasにある24時間営業のウォルグリ-ンをキ-テナントしたNSC。ウォルグリ-ンの店舗は外観設計に工夫がされていて特長があって暖かいイメ-ジがある。ク-ポンチケットを無料で配ることによって来店を促す工夫をしている。 ⑮Walgreen Ex-Press Longs Safeway Longs、Safewayをキ-テナントとしたNSCにインディペンデントの24時間営業のWalgreen Ex-Pressが参入した形である。 ロングスはサンフランシスコNo.1のス-パ-ドラッグでウェイコントロ-ルと呼ばれる入口を2カ所設けている。これは、店が広いため客が無駄な距離を歩かなくて済むようになっている。 ちなみに女性用品は左側、男性用品は右側のドアから入れないようになっていた。客の数も多かった様である。調剤は一番奥のスペ-スで店舗の四隅に高頻度商品が置かれていた。マウスケア-、リカ-、紙、ドリンクなど中通路を工夫して店をまんべんなく廻るようになっている。 なお、ウォルグリ-ンのEx-Pressは夜のイルミネ-ションが大変美しいそうである。 ⑯PIER 39 ピアとは桟橋のことで、特長あるみやげもの屋といった感じ。一軒ずつ別のコンセプトで展開している。 フィッシャ-マンズワ-フの東端にある桟橋を改造して造られたコンセプトショッピングモ-ル。木造2階建てのしゃれた店やレストランが並び人気のある所。桟橋の上には100頭くらいのアザラシがいた。保護されているそうである。 とても寒かったがサンフランシスコ湾の眺めは素晴らしかった。 ⑰Fisherman's Wharf フィッシャ-マンズワ-フはサンフランシスコ人気NO.1スポット。その昔イタリア人漁師の船着き場だった所が今は観光客でにぎわっている。 午後7時10分からここの9フィッシャ-マンズグロットにてディナ-。大変おいしいカニを食べた。味付けもさっぱりしていて日本人向き。 午後8時50分からユニオンスクエアから南に2ブロック先にある、ヒルトンホテル着。サンフランシスコ最大のホテル。 46階のレストランからは夜景が美しく館内はベ-シックで落ちついた色調でまとめられ絵画や生け花がセンスよく飾られている。今回の旅行で最も良いホテルである。 2月22日(木) 午前8時から2時間各班ごとに今回調査したことの発表会を行った。大変熱の入った発表会で時間が足りないくらいであった。 午前10時10分にホテルを出発。ユニオンスクエア、ゴ-ルデンゲ-トブリッジを見学。 ⑱Goldengate Bridge ケ-ブルカ-と並びサンフランシスコのシンボル。世界で一番美しい橋と言われている。1937年4年の歳月と3,500万ドルをかけて完成した全長1,966m。この橋はその技術的確かさもさることながら鮮やかなそのレンガ色は2つの岸をつなぐ手段以上に芸術的であった。 ⑲Desernias Pharmacy ダウンタウンにある今日の視察では2軒目のインディペンデントのパパママストア、店の広さは約30坪。 夜一人で歩くのは少しためらうような地区。立地のこともあってか、正直いってあまりきれいな店ではない。 駐車スペ-スはなく、外装は長い間手を入れられていない。ショ-ウィンドウには介護用品が展示されていた。 店の狭さもあってか品揃えはあまり十分とは言えない。Good Neighbor Pharmacyと呼ばれる卸のPBを扱っている。しかし、チェ-ンドラッグにはない、アットホ-ムな感じがした。親子2人でやっておられ本当に頑張っておられる姿は同じ薬剤師として私達が忘れがちなものを教えてくれたように思う。 国は違えども目指す所は同じはずである。 ⑳Stones Town SC Merrills ノ-ドストロ-ム ペトリ-ニ スト-ンタウンにあるnordstrom merrillsがキ-テナントになったショッピングセンタ-。近くに大学もあり緑が多く 美しい町であった。 21 Payless Ross San Mateoにある今回最後の見学場所。Paylessにはコ-ディネ-タ-の保坂先生の20年来の友人の薬剤師の方がいて十分説明を受けた。 営業時間は8時から22時。以前は9時から21時であったが業務の処理が終わらないので延長した。処方せんは1日300~320枚受け付けている。昨年の老人保険の実施で50~100枚増加した。処方せんの利益率は28%ぐらいあったのが低下して22%前後になっている。老人分は15~18%しかない。患者デ-タは本社のコンピュ-タ-に衛生中継のオンラインで結ばれている。患者氏名、用法用量のラベル、領収書、必要な患者には warning(使用上の注意、警告など)のラベルもコンピュ-タ-で打ち出される。実演して見せてくれたけれど15秒程度でスム-ズに打ち出された。調剤自体は錠剤の計数調剤が主で乳幼児向けに1部液剤があるようだ。錠剤を数えて瓶に入れ、ラベルを貼って薬袋に入れる。薬剤師は忙しいので処方せんの受け付けと薬剤の手渡し部分を担当する。計数は州政府の認定を受けたテクニシャンが行う。発注は週2回。夜9時までにオンラインで本部に注文すると朝9時には納品される。 ところが、忙しくて商品棚に補充をする暇がなく品切れに見える棚ができている。処方せんを提出した後、買い物等で時間をつぶす人もかなりある。30分して来てもらうよう説明している。夕刻には患者のラッシュになり、待ち時間が長いという苦情があって困っている。我々全員が薬剤師だと言うと”OH!!GREAT!!”と驚いていた。 ホテルに戻り午後6時30分からチャイナタウンにてサヨナラパ-ティが開かれた。保坂先生と各班長には感謝状が贈呈された。 研修が終わった開放感からか全員とてもリラックスしていた。 パ-ティの後でチャイナタウンのウォルグリ-ンを見学。品揃えが東洋人向けになっていた。コミュニティに合わせた店造りの一端を見た思いがした。 2月23日(金) 午前11時30分発のユナイテッド853便にて一路東京へ。 2月24日(土) 日付変更線を再び通過して成田に着いたのは午後3時30分。全員けが一つない素晴らしい旅であった。 最後にアメリカにおける商業の成り立ちから現在の姿まで寸時を惜しんで御教授いただいた保坂先生並びに鈴木団長、平岡副団長、旅行全般にわたり種々の手配や心配りをいただいた協励会事務局の先生方に参加した全団員の気持ちをこめて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
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